はい!全然ダメー!

小さい時に、声楽を習い、ピアノを習った。
「練習しなさい。」
先生や母の声が煩わしかった。
いやでいやで、泣きながら練習した。

沢山練習して先生の前で歌ったら
「何練習してきたの?全然ダメ。」

又、1からやり直し。
悔しくて、泣いた。
出来ない自分が悔しかった。

必死で練習して、出来た!と、次の日先生に聴いていただいた。
「ダメ!全然ダメ!違う!違う!違う!」
あんなに練習したのに・・・何故できないんだろう・・・・。
悔しいのと、どこが違うのかわからない自分に腹が立った。

次の日、「何処が違うのかわかりません。教えてください。」と先生に聞いてみた。
「身体で覚えるしかない。歌ってみて。」
♪~~~~♪

「はい。全然ダメ!」
ショックだった・・・。

すでに夕日が差していた。
部屋はオレンジ色に輝いていた。

突然、先生は窓辺に移動した。
夕焼けの空、逆光で先生の姿はシルエットになっていた。
突然、スーーーーッと息を吸い・・・・
♪~~~~♪

その声は、少女だった。
透明に・・・何処までも透き通った、鈴のなるような声・・・・
おばあさん先生では無かった。
美しい10代のお姉さんが、素晴らしく美しい声で歌っている!
瞬きも忘れるほど、感動していた。
先生の声を聴いて、自然に涙が溢れていた。

「どう?わかる?」
私のそばに戻ってきた先生は、やっぱり、おばあさん先生だった。
でも、私の心には美しい天使の歌声にしか聴こえなかった。
涙をボロボロこぼしている私を見て先生は、笑っていた。
「わかったみたいだね。又、明日」

家に帰って、私は目を閉じて先生を思い出していた。
何故、あんなに美しい声で歌えるんだろう。
おばあちゃん先生は、歌っているとき、確かに少女だった。

次の日、先生の前で歌った。
「はい!ダメ!全然ダメ!」

その日から私は、歌うことが嫌だと思わなくなったんだ。
『先生みたいになりたい』
それだけを思っていた。

本当に厳しかった、先生と母。
でも、今は心から感謝しています。

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